小樽ビールの製造過程

私たちは、ひとりでも多くのお客様に最高品質のビールを味わっていただけるよう、日夜ビールづくりに励んでいます。伝統の醸造方法を守り、4つの原材料だけにこだわり続ける小樽ビールで、どのようにしてビールが毎日生まれるのかをご覧ください。

ステップ1 麦芽の粉砕

小樽ビール作りは、まず麦芽を粉砕することから始まります。ほこりや不純物が取り除かれ、キレイになった麦芽は、お湯に浸され柔らかくなります。3対6個のローラーをもつ粉砕器にかけられ、麦芽は徐々に細かくなります。粉砕された麦芽の殻皮の大きさは、後のろ過段階で重要な役割を果たすので、粉砕時にあまり細かくなり過ぎないよう、細心の注意が払われます。粉砕された麦芽は「グリスト」と呼ばれます。

ステップ2 マッシング

小樽ビール作りのステップ 2は、マッシング。「マッシュ」とは、粉砕された麦芽「グリスト」と湯を混ぜ合わせたもののこと。グリストを仕込み釜に移し、湯を混ぜてマッシュにし、加熱することによって麦芽が自ら持っている酵素の作用による糖化を促します。

小樽ビールのマッシング工程では、リッチでクリーミーな泡立ち、芳醇で甘い麦芽の味と香り、豊かな色合い、そして極めて贅沢な口当たりといった、決して他では味わうことのできない優れた品質を維持するために、温度設定に細心の注意を払います。

小樽ビールがマッシング段階で採用しているのは、「デコクション」醸造法という伝統的な醸造方法。温度計が発明される以前、ビールの最終的な品質を左右するマッシングでの温度管理をどのように行うかは大きな問題でした。温度・量が一定である冷たい醸造用水を一定量の熱湯に加えると、最終的な量が決まるとともに、常に一定温度の混合水が得ることができます。

この論理に基づき、マッシュを二つの釜に分けて入れ、一つの釜は煮沸させ、もう片方を一定温度に保てば、二つのマッシュを再び混ぜ合わせた時に、常に一定の適温を保つことが可能になります。これがデコクション醸造法の原理であり、小樽ビールではこの伝統的な製法に基づいてビールづくりを行っています。

温度計がある現代で、小樽ビールはなぜこのような醸造法を続けているのでしょうか。理由は簡単。マッシュを煮沸することによって、ビールにとって大切なさまざまな要素が自然に生み出されるからです。中でも最も重要なポイントは、ビールに豊かな風味と色合いを添える天然のカラメルが生成されること。焙煎モルトや添加物を使用して、カラメルの風味と色合いを人工的に作り出すのではなく、デコクション製法によって自然に作り出されたカラメルによって風味と色合いを加えることによって、焦げたような粗雑な風味のない、口当たりがよく、深みのある豊かなビールを作ることができます。

マッシングをしない場合に比べ、およそ2倍の手間がかかるとともに、仕込み釜を熱するためのコストもかさむことから、他の醸造所ではほとんど採用されていない製法でもありますが、あくまで自然なビールにこだわる小樽ビールは、これまでも、そしてこれからもこの醸造法にこだわり続けます。

ステップ3 マッシュのろ過(ロータリング)

第3ステップは、マッシュのろ過(ロータリング)です。このとき必要なのが「麦芽の粉砕」の際に生じた麦芽の殻皮。粉砕された麦芽の殻皮がろ過機の底に溜まり、その殻皮の層を天然のフィルターとして使い、マッシングの段階でできた糖分と水分から成る麦汁をマッシュから抽出します。麦汁が殻皮の層を通り抜ける時に、せっかくできた糖分が殻皮に付着して取り残されますが、これらの貴重な糖分は後に「スパージウォーター」と呼ばれるお湯を散布し、改めて抽出されます。こうしてマッシュからろ過されたものが麦汁です。

ステップ4 麦汁の煮沸

第4ステップは、麦汁の煮沸です。この工程ではブラウマイスター、ヨハネス・ブラウン自らが厳選した最高級アロマホップが2-3回に分けて麦汁に加えられます。

まず1回目のホップはビールに苦味を添えるため。後味のよい独特な苦味が生まれます。が、麦汁が次の醸造ステップに進むうちに、このホップの香りは薄れてしまうため、煮沸の半ばに2回目のホップが加えられます。芳醇な味と香りをビールに添えるのは、三回目のホップ。小樽ビールでは、他のホップでは味わえない独特の芳香とぴりっとした風味を添えるテットナンガーを最終添加用ホップとして使用しています。

ステップ5 麦汁の発酵

ステップ 5は、麦汁の発酵です。準備として、まず煮沸された麦汁を冷却したのち、多量の空気を吹き込みます。そして、麦汁に含まれる糖分をアルコールと炭酸ガスに転化させる酵母が加えられます。

このプロセスは「フローテーション(浮上)」と呼ばれます。多量の空気を送り込むことによって、酵母の増殖と発酵を促すとともに、余分なたんぱく質やホップの粒子、死滅した酵母細胞を、文字どおり発酵槽の上部へと浮き上がらせるのです。これらの余分な物質を取り除くことによって、健全な酵母だけが残り、発酵の段階で小樽ビールならではの風味と口当たりのよさが生まれるのです。

一般的に麦汁の発酵は10-12℃の温度で行われますが、小樽ビールではそのほぼ半分の温度で発酵を開始します。この低温発酵方法を用いると、主発酵が終了するまではおよそ10日。麦汁中の糖分を酵母がじっくりアルコールと炭酸に変えてゆきます。こうして主発酵を終えたビールは「若ビール」と呼ばれます。

ステップ6 低温貯蔵

最終工程となるステップ 6は、低温貯蔵です。天然カラメルの色、アロマホップの苦みと香り、アルコールと炭酸を備えた若ビールは貯蔵槽に移され、4-6週間をかけてじっくりと低温・低圧の環境で熟成されます。季節限定ビールの中には、6ヵ月間も熟成されるものもあります。

低温・低圧で熟成を行うのは、酵母によって生成された炭酸ガスをしっかりとビール内に「落ち着かせる」ため。炭酸ガスがビール内に留まるから、ボトルや樽を開けた時に、小樽ビールならではのリッチでクリーミーな泡がつくり出されるのです。

他のビールメーカーがしていて、小樽ビールがしていないこと。それは熟成したビールから酵母を取り除くこと。小樽ビールでは、ビールから酵母を取り除きません。理由は二つ。第一に、酵母を残しておくことによって、ビールの栄養素が増加します。第二に、酵母にはビールにコクを添えるとともに、炭酸ガスを抜けにくくする働きがあります。したがって、酵母を取り除いてしまうと、こくに欠け、すぐに気が抜けてしまうビールとなってしまうのです。つまり、酵母を残すことによって、栄養価が高く、コクがあり、しかもリッチでクリーミーな泡立ちのビールが生まれるのです。

冷蔵されたままお手元へ

こうして小樽ビール銭函醸造所で生まれた小樽ビールは、ボトル・樽に詰められます。貯蔵槽からボトリングされ、輸送されて店内で陳列され、お客様が実際に小樽ビールを手にするまで、ずっと冷蔵のままです。