Dunkel Bock/ドンケル・ボック

『飲むパン』アルコール度数8.5%の濃厚ビール

ドイツ視察旅行中の小樽ビール醸造責任者ヨハネス・ブラウン一行は、1995年1月28日ドイツ中央部ヘッセン地方にある修道院にいた。この修道院には、1700年代からボックビールを造りつづけているビール醸造所があった。

昔からイースター(キリスト復活祭)前40日の断食期間、飲料のみ口にすることを許されていた修道僧達にとってボックビールは貴重なエネルギー源であった。熟成期間4ヵ月以上、原料を通常の1.5倍使い、アルコール度数8.5%とエキス分の高いそのビールは、まさに「飲むパン」の名にふさわしい。
極上のボックビールに感激した一行と、「日本に本物ビールを広める決意」に感激したその醸造所のブラウマイスターは、すぐに意気投合した。そして小樽ビール開業の日には必ず招待すると、再会の約束を胸に当地を離れた。

1995年7月15日小樽ビール開業前日。小樽ビールには代理としてドイツから来日した、ブラウマイスターの長男の姿があった。その手には、260年間門外不出のボックビールレシピが握りしめられていた。

《特別な時に特別なビールを》
ボックビールは16世紀後半から王室を中心にクリスマス時期の特別なビールとして愛飲された。現在ではクリスマスや新年の食卓にリッチな花を添えるスペシャルビールとして広く親しまれている。